SNSで実態のないアカウントが削除される意味

こんにちは。Twitterのメンテナンスで実態のないアカウントが凍結されたそうです。



それによって著名人のフォロワー数がどれくらい減ったかが興味をひいています。



凍結されたアカウントは、主としてスクリプトで自動制御されているロボットアカウントだそうです。

つまり、フォロワーの減少率から、ロボットアカウントにフォローされている比率を類推することができそうです。

減少率に大きな差がなければ、ロボットアカウントがランダムにフォローしていることになるのですが、どうも偏りがあるようです。

簡単に言えば「フォロワー数の水増し」です。

もちろん、フォロワーの減少が多いアカウントの人がフォロワーを水増ししているとは限りません。

もともと著名人の場合は、勝手にフォローされている場合の方が多いと思います。
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フォロワーを水増し行為にどんなメリットがあるのでしょう。

2つほど理由を考えてみました。

一つは「人気を装う」ことによって、「人気を集める」というやり方です。

実際、駅前の廃れたラーメン屋さんでも、サクラを雇って行列を作っておくと、来客が集まってくるという話を聞いたことがあります。

人には「人だかりに集まる」という習性があります。

そのため、あらかじめある程度のフォロワー数を確保しておくことでフォロワー数を増やすことができるのかもしれません。

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多くのフォロワーを持ち、発言が大きな影響力を持つTwitterのユーザーを「アルファツイッタラー」といわれます。

もちろん結局は面白いことをツイートしなければ、影響力は得られないのですが、第一段階としてある程度認知されなければ、面白いツイートも広がりません。

いわゆる「アルファツイッタラー」には、フォロワーの水増しをするインセンティブが大きいと思います。

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もう一つはもっと具体的な理由です。

「インフルエンサー」というビジネスモデルがあります。

「インフルエンサー」は、自分に興味を持つフォロワーを確保することで、それに対する広告掲載によって報酬を得るというビジネスモデルです。

フォロワー数は、広告メディアとしての「アカウントの価値」の大きな指標になっています。

広告ツイートの単価を計算する際に、フォロワー数が入っています。

実感としては、広告価値で言うならば、フォロワー数よりもインプレッション数の方が重要な気がします。

しかし、インプレッション数は非公開情報に対して、フォロワー数は公開情報なのでアクセスがしやすく、依頼する側からわかりやすい指標なんだと思います。

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いずれにしてもこのような機械的な人気の水増し行為は、システムの変更によって簡単に覆されてしまうものです。

これまででもYouTubeの再生数を水増しする行為とか、SEOと称して「ホームページの中に無駄なキーワードを列挙する」というようなやり方がありました。

しかし、いずれも不自然なコンテンツは、システムのアルゴリズムのメンテナンスによって淘汰されています。

YouTubeにしても、Googleにしても、Twitterにしても、これらのサービスのサーバー機能が強化されていくことによって、ユーザーに価値のないコンテンツを削除していくという技術革新の流れがあります。

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価値のないコンテンツが氾濫すると、エコシステムが崩壊することがあります。

そこで思い出すのがアタリショック(Video game crash of 1983)です。



1982年末から1983年というテレビゲーム黎明期に、北米において見かけだましのゲームコンテンツが氾濫したことによって、悪評が定着してしまい、ゲーム市場が崩壊したという事件です。

その後ゲーム市場を再生したのが、任天堂なのですが、任天堂はソフトのクオリティをコントロールに腐心しました。

海賊版が出回らないよう、ライセンスやROMカートリッジの生産においていくつかの仕組みを作ったのは有名な話です。

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そう考えてみると、SNSはもう黎明期から成熟期に入っており混沌と創造から、秩序と品質の時代に切り替わっていることがわかります。