映画「美女と野獣」の終曲に「How does a moment last forever」という歌があります。
とても好きな歌で、この素敵なタイトルの持つ味わいを、どうにかして和訳できないか、と悩んでいます。
この題から私の感じるイメージを、書いてみたいと思います。
まず、1語目のHowですが、このため息のような音の響きを聞いたとき、「How wonderful」のような表現を想起しました。
もちろん、「どうしたら」という方法を問う、もとの疑問文の意味も重なり合って感じます。
でも、これって誰かへの問いかけというよりは、自問のような文ですよね。仮定法ではないのですが、なんとなくそういう趣きがある気がします。
また、一瞬と永遠というコントラストも鮮やかです。
そして、一瞬を留めたい、という他動詞ではなく、「続く」という自動詞、というのも面白いです。
あと、似たようなことに、momentが定冠詞でなく、不定冠詞で、一般化されていることもあります。
「この幸せな一瞬を切り取って、ずっと残したい」という想いを感じるのですが、あくまでそれを秘めて、「どうやって一瞬というものは永遠に続いていくのだろうか」という控えめな問いかけに変えているのではないでしょうか。
まるで、「時の永続性に関する一考察」という論文のタイトルにしても良いような、よそよそしさなのです。
でも、そこには神を信じる科学者のような、アンビバレントな控えめさが込められているような気がします。
人が時としてHowと嘆息します。人の小ささを感じ、大きな自然への祈りのような感覚を持つのでしょう。