たまたま聞いたライディーンのドラムがとてもかっこよかったからです。
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これまで、私にとってかっこいいというドラムといえば、リフやバスドラムが派手だったり、ビートが激しいものだったんですが、高橋幸宏さんのドラムはハイハットだけでもすごい躍動感ある音楽で、びっくりしました。
ドラムってこんなに表現力があるんですね。
聴いたことのない方はぜひ見てください。
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ここから興味を持って彼らのインタビューをみたりしました。
YMOの作ったテクノポップというジャンルは、シンセサイザーやシーケンサーという、テクノロジーを受け入れてできた音楽です。
当時のインタビューで面白かったのは、細野晴臣さんが「演奏家としては機械による自動演奏はショック」といっておられたことです。
別にピアノ弾けなくても、音楽のイメージが湧いたら、コンピューターにやってもらえば、これを弾くために10年も20年も練習する必要はないわけです。
(坂本龍一 日めくりタイムトラベル(昭和55年)「YMO」より8分4秒から)
ミュージシャンとしての意識から言うと、自分が演奏しなくても音楽ができてしまうという体験をすることは、特に演奏家としてはショックなことです。
(細野晴臣 日めくりタイムトラベル(昭和55年)「YMO」より8分20秒から)
シンセサイザーやシーケンサーによって、演奏技術がなくても「だれでも」音楽ができるようになった、という言葉が興味深いです。
確かにオーケストラを作ろうと思ったら、たくさんの楽器が必要です。
そしてその習熟にかかる練習時間はとても膨大でしょう。
しかしシンセサイザーがあれば、多様な音色を生成することができます。
シーケンサーがあれば何度でも同じ正確さで演奏することができます。
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アートはテクノロジーの可能性を可視化するものだということがよくわかります。
YMOはサウンド作りや音楽パターンを作ることによって、新しい音楽の可能性を切り拓きました。
音楽という最も人間的な分野で、テクノロジーを取り込んで成功したYMOの発想は、今の時代にも生きるのではないでしょうか。
テクノロジーを活用するにはテクニック、スキルが必要なように見えます。
そのためのスキルアップをしている方も多いでしょう。
しかし、テクノロジーがテクニックを置き換えるという面があることを忘れてはいけないと思います。
既存の専門的なテクニックを持たない人にとっては、環境の変化はあらたなチャンスがあります。