記録可能性とオリジナリティ ~ おお、うるわしバラ

こんにちは。ルネサンス音楽の「おお、美しき薔薇よ」をFC音源にアレンジしました。



アレンジといっても私が手を加えたのは音色を作ったぐらいで、自分のオリジナルという部分はほとんどないです。





***

作者不詳の作品って?


ちなみに「オリジナル」といえば、西洋音楽にこの「オリジナリティ」という価値ができたのが、ちょうどこのルネサンス期なんです。

この曲は、かつてダンスタブル(John Dunstable 1390 - 1453)の代表作として知られていました。

ところが、その後の研究で、現在はベディンガム(John Bedyngham ca.1422 - ca.1459or1460)の作品と推定されています。

なぜ作曲者がわからなくなるかというと、これは楽譜に原因があります。

当時は楽譜がまだ印刷ではなく、書き写した写本によって伝えられたからなんです。


だいぶニッチすぎる選曲ですが、さいきん音楽史に関する本を読んで興味をもった曲です。

***

楽譜が生まれ、和声が生まれた


「おお、うるわしバラ」は、15世紀のイギリスの音楽家ベディンガムの作品と言われています。

ある女性を愛することへの苦悩が歌われた作品です。

この時代、楽譜の発明と和声の発見によって、音楽はさまざまな試みが行われました。

まだ、決まりきった和声進行が確立されていない時代で、素朴で自然な音楽になっています。

しかし、よく聴いてみると、そこにはハーモニーやリズムに作曲者ならではの工夫があります。

***

「作曲」というプラットフォームが生まれたイノベーション


それまで音楽を口で伝えていた時代には、「作曲者」という意識は希薄でした。

曲は口伝えの中で、少しずつ手を加えられたからです。

しかし、音楽を楽譜で記録できるようになった、この時代からは「作曲者」という意識が芽生えます。

いわば、新たな創作のフィールド、あるいはプラットフォームができたのです。

楽譜の発明はSNSの発明に近い


イメージ的には、YoutubeとかTikTokとかみたいな感じです。

発表の場ができると、家庭用ビデオでも一気にいろいろな人が多彩な映像制作をするようになりましたよね。


西洋音楽でも、そうして生まれた「作曲者」たちが、創意工夫を重ね、独特の発展をとげることになります。

***

ルネサンス音楽との出会い


ちなみに私の学生時代の部活顧問の先生が、ルネサンス音楽が好きだった影響で、そんな楽譜ばかり渡されて演奏していました。

なので、自分の音楽の原体験には、ルネサンス成分が濃いと思います。