確かに、「したいこと」と「なされるべきこと」のいずれかを選ぶ場面はありますよね。
主人公の女性は子どもを守るために「夢を追う」という夫の選択と衝突することになります。
結婚前は夢を応援できたけれど、年を重ねて子どももいる今は応援できない。
どちらが正解とは言えませんが、「家族」という守るべき組織ができると、「したいこと」に比べ「なされるべきこと」を考える重要性が増したのではないでしょうか。
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ドラッカーの『経営者の条件』によると、組織で成果をあげるためにもっとも大切なことは、第一に「なされるべきことを考える」という事です。
第一に身につけるべき習慣は、なされるべきことを考えることである。
何をしたいかではないことに留意してほしい。
なされるべきことを考えることが成功の秘訣である。
これを考えないならば、いかに有能であろうとも成果をあげることはできない。
『経営者の条件』p.3
人は守るものがなければ自由ですが、逆に守るものがあれば自ずと「なされるべきこと」によって制約を受けます。
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家族という小さな組織なら、「なされるべきこと」は見えやすいですが、組織が大きくなるにつれ徐々に見えづらくなります。
何から手をつければ良いかわからないときは、色々なアドバイスに翻弄されることがあります。
本などを読んで「よいやり方」を色々と試してみるのですが、結局どれもものにならないということってありませんか。
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なぜ、「よいやり方」がうまくいかないのでしょう。
それは自分で見出した「なされるべきこと」ではないからです。
本来「なされるべきこと」はそれぞれの組織によって違います。
「なされるべきこと」は、組織の中にある必要性に目を向けることでしか見つけることはできません。
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では、何が「なされるべきこと」なのか、という判断はどのようにすれば良いのでしょうか。
それは、「ステークホルダー」に注目することです。
むかしの近江商人流にいえば、「三方良し」ということになります。
すなわち、「売り手よし、買い手よし、世間よし」ということを判断基準にします。
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今の会社組織にとって、売り手・買い手・世間の3者をみて、もっとも不満や困難を抱えているのは誰なのか、ということに注目すると「なされるべきこと」を見出すヒントになると思います。
一番問題を抱えているところから解決することで、他のステークホルダーの問題も解決されます。