データ分析で社員を見える化できるか ~ タレントパレット

こんにちは。人の心を「見える化」できると思いますか?



ビジネスでは「見える化」の大切さについて言われることが多いです。

ビジネスリソースの三要素のヒト・モノ・カネのうち、ヒトが一番数値で評定しにくい分野です。

しかし、SNSなどで収集したビッグデータの分析を通して、「人も見える化できる」という価値観も広がっています。

すでにGoogleやAmazon・Facebookなどが表示する情報は、「個人化(Personalize)」されたものです。

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そういう解決手法を人事に応用したもののに「タレントパレット」という人材管理システムがあります。



社員に対する定期的なアンケートを集積・分析することで、人材を見える化するというのがそのコンセプトです。

人のモチベーション・興味・関心あるいは仕事への適正は、質的な情報でなかなか数値管理しにくいですが、情報をたくさん集積することで分析できるという考え方があります。



私自身はそういう考え方にはまだ懐疑的なのですが、経営する人からすると「ゲームのように」人材を配置するというのはとても魅力的な考え方のようです。



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人材の確保が難しく、離職率が高くなっている現状では、人材管理においてなんとか効果が上がるような、検証可能な「科学的」な方法が求められていることも事実でしょう。

機械的なソリューションで手間をかけずに「八割方妥当」な選択ができるのであればそれを取る、というのが現代のやり方なのかもしれません。

そして確かに、人工知能のサジェスチョン(提案)は人間を「概ね満足」させる傾向があります。

「人事を機械(AI)に任せる」というのはまだまだ暴論に聞こえますが、どんどん現実化しています。

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しかし、人事の機械化は、社会において一人ひとりの人間を見る「余裕」が失われていることの証左でもあります。

統計的に妥当な人工知能の選択は、人間と違ってのっぺりとして感動がありません。

人の「平均顔」についても感じるのですが、平均すると確かに美しいけれど、薄味で面白味もないんですよね。



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また、働く人の受け止めについても注意が必要でしょう。

仕事に対するやる気や調子について、頻繁に5段階評価をさせられたり、仕事に対する思いについてテキストマイニングの分析にかけられると、まるで実験の被験者、モルモットのような印象があります。

実際の働く人にとってどのように受け止められるかは、かなり世代による差が大きいように思います。

20代ぐらいの世代であれば、SNSにネイティブな傾向も強く、あまり違和感が無く受け入れられるのかもしれません。

むしろこのように自分の情報を提供することによって、「自分に合った人材配置がなされる」ということをポジティブに捉えられるでしょう。

一方で自分の情報を差し出すことに対して抵抗感のある世代は、本音と建前の違いを意識して、このような機械的な方法はあまり好意的には受け止められないと思います。

どうしても、人間に対する理解が薄っぺらく感じられてしまうのです。

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では、このような機械的な人材管理から自由であるためには、どうすればよいのでしょう。

一つは人材管理部門のスタッフの職人的なスキルを向上させることですが、これはなかなか現実的ではないかもしれません。

もう一つは組織自体を人の管理できる程度に小さく分割していくということです。

情報技術によって、生産活動をするのに協業がしやすい仕組みが整ってきました。

組織によらず、人を結びつける仕組みがあります。

少人数でも他の会社と結びついて生産しやすくなっています。

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大きな組織は大きな組織のやり方で、小さな組織は小さな組織のやり方で、それぞれの働き方を考えていくことができると思います。

もちろん、社会には必ず大きな組織も必要なので、機械的な人材管理システムは大きな組織の中で力を発揮できていない人には朗報でしょう。

道具(ツール)の良しあしは、けっきょく使う人しだいです。

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テキストマイニングやデータ分析はとても面白い分野で、そこからいろんな知見が生まれてくると思います。

しかし、このようなデータ収集が常に自分の周りにあるというのも現代の実像なのかもしれません。

現代で働くには、機械にできないことをする、機械をうまく活用する、という2つの軸を意識する必要があります。