小泉武夫さんの『奇食珍食』を読みました。
包丁さばきの話ではなくて、生き物から食材に変わる、というちょっと不気味な感覚のことです。
本のなかでは、ナマコをさばく描写があったんですが、さばくには、骨格とか内臓とか、「生体の構造」を知らないといけない。
この生体の構造というは、自分自身の体もそうなんですよね。
だから、さばかれる様子をみながら、じぶんの死を連想してなんか不安な気持ちになりました。
でも、さばいていくと形はどんどん変わり、自分から似ていない状態なってきます。
切り身になって調理される段には、塩とか酒とか、もう食材です。
すっかり安心できる存在になっている。
でも、基本的にはいつも食べる食事というのは、さばかれた生体をいただいているんですよね。
その想像力って、見失いがちだなと思いました。
食を知ることは自分を知ること。