とくに、たくさんの人と働いていると「サイコパス」な部下に出くわすことがあります。
そういう部下がいたとき、多くのリーダーがどういう姿勢で集団をまとめたらよいか迷うのではないでしょうか?
この記事では、一般的な部下とサイコパスな部下の違いと、その対応について書いています。
ただ、サイコパスと接して仕事をすることはとても精神力をすり減らす生活です。
自分の調子をみながらけっして無理はせず、場合によっては逃げてください。
自分の調子をみながらけっして無理はせず、場合によっては逃げてください。
上司から「認められていない」と感じている人は多い
私はこれまで部下に対して、愛情をたっぷり注げば、望みが伝わって、パフォーマンスが上がる結果になる、という「理論」で行動してきました。基本的に人には、「承認欲求」。つまり、「だれかに認めてほしい」という気持ちがありますよね。
とくに、心の弱い人・満たされていない人の場合は、「認めてくれる人が周りにいない」と思い込んでいて、そこを埋めることができれば、安心して力を発揮してくれる、と思っていました。
サイコパスは承認や愛情をキャッチできない
しかし、この方法論には限界があるのかもしれません。組織の人数が大きくなると、「世の中には本当に色んな人がいる」ということに気づかされます。
人間の「人から認められたいという欲求」は根源的なものだとは思うのですが、中には人からの愛情や承認を「キャッチできない」感性の人もいます。
いわゆる「サイコパスな人」です。
「サイコパス」の見分け方
「サイコパス(psychopath)」というと凶悪犯を連想しますが、「反社会的人格の一種である精神病質(psychopathy)をもつ人」を指します。「サイコパス」の特徴は、心理学者のヘアによると
- 良心が異常に欠如している
- 他者に冷淡で共感しない
- 慢性的に平然と嘘をつく
- 行動に対する責任が全く取れない
- 罪悪感が皆無
- 自尊心が過大で自己中心的
- 口が達者で表面は魅力的
つまり、サイコパスは「心理学的の人格タイプ」の一つです。
精神医学の分野ではこれを「病気・精神疾患」と考え、「反社会性パーソナリティ障害(Antisocial Personality Disorder、ASPD)」という診断名があります。反社会性パーソナリティ障害の有病率は、一般的な男性の3%、一般的な女性の1%ほどとされています。
社会生活で出会うサイコパスの特徴
しかし、現実社会では「病気」とまでは言えないレベルの「サイコパス的」な人はもっと存在します。- 不誠実さ、
- 搾取、
- 傲慢(ごうまん)さ、
- 後悔や自己批判の少なさ、
- 冷淡さ、
- 感情の薄さ
怖い話ですよね…
社会で成功するタイプのサイコパスは、共感性に欠け、自分の利益だけを常に考えるものの、愛想のよさと攻撃性を使い分けて、他者の扱いが巧みです。
サイコパスの「優秀さ?」
また、サイコパスな社員は、仕事上で評価されるケースもあります。サイコパスは自信に満ち、人に影響を与える能力があるので、仕事上で頼もしく映るのです。
職場にサイコパスがいるとどうなる?
じっさい、「サイコパス」な部下に接して一番強く感じたのは、自身への強い自信や傲慢さと、思い通りにならない時の子どもっぽいぐらいの攻撃性です。チームにこのような人がいると、周りは怒らせたくない心理からどうしても気を使って委縮してしまいます。
ストレスが増え、健康を害するスタッフも出てきてしまいます。
リーダーとして対応しなければならない必要性が出てくるのです。
サイコパスの認知の特徴を理解する
自分も認知の仕方の多様性については、わかっていたつもりでした。多様というのは、「ひとつのやり方ではうまくいかない」ということです。
しかし、集団をまとめる立場になると、つい「どうしてこれだけ相手を認めてもうまくいかないのか」という考えから抜け出しにくいんですね。
失敗から学ぶこと
私は「この人が攻撃的なのは、会社に認められている自信がないから」と思って、なるべく仕事を任せて褒めたり、良いところを引き出そうとしました。しかし、思惑に反して仕事を任せるほどにかえって周囲のスタッフへの「ダメ出し」や攻撃性が強まりました。
特に、上司の見ていないところでの立場の弱いスタッフへのパワハラ・モラハラがありました。
結局、他のスタッフの精神的な不調が現れるに至り、サイコパスな部下を退職させ、チームは解散することになってしまいました。
リーダーに求められる毅然とした対応
サイコパスに接するには「毅然とした対応」が求められます。サイコパスは他者を支配しようとして相手を見下したような姿勢を取ったり、オブラートに包んだ脅迫をしてきます。
また、自分の利益のために平気でうそをつくこともできます。
このような嫌がらせに対して、毅然とした対応を取らないといけませんし、立場が弱いスタッフはリーダーが全力で守る必要があります。
サイコパスな部下に何を学ぶか?
もちろん、一方的に相手を「サイコパス」、と決めつけるのはアンフェアだと思います。ただ、チームの運営でうまくいかなかいことが分かった時点で、やり方を変える柔軟性が、リーダーとして求められていたんだと思います。
そういう意味では、自分も「硬かった」と思います。
これも自分の可能性をひろげるチャンスなのかもしれません。
おすすめの本
サイコパスな部下との付き合いによっていろいろなことを考えました。そんな時期に悩んで読んだ本の中から3冊ほどを読んだ順にご紹介します。
- 「頑固な羊の動かし方」からは、部下を守りきること(時間をかける)。
- 「部下を持ったら必ず読む 「任せ方」の教科書」からは、任せきること(権限意識)。
- 「上司が「鬼」とならねば部下は動かず」からは、指導者の自覚と強さ。
職場のサイコパスに悩むあなたにとって、お役に立てれば幸いです。