私のとっておきの一冊 クレヨン王国の12カ月 ~わるいくせ



小春(@55koharuno)さんのブログ企画に参加させていただきました。

とはいえ、またしても やや応募締め切り後ではありますが。

「私のとっておきの一冊」、よかったらどうぞ。



とっておき

皆さんには、「とっておきの一冊」ってありますか?

「とっておき」とは、「いざというときのために、大切にしまっておく」ということだそうです。



なるほど、大切な本であり、「いざというとき」のためなんです。



「いざというとき」か……

母と子のテレビ絵本


「いざというとき」ではないのですが、小春さんのツイートを見て、パっと思いついたのは『クレヨン王国の12カ月(福永 令三さん, 1980)』です。



作者の福永令三さんは、この『クレヨン王国の十二か月』で1964年に第5回講談社児童文学新人賞を受賞されています。

もう、半世紀前になるロングセラーなんですね。



この物語を、私がはじめて知ったのは たしか NHK教育テレビの「母と子のテレビ絵本」という番組。

毎日、少しずつお話しが進んでいくのを、子どものころに見た覚えがあります。

懐かしい…。



あらためて調べてみると「母と子のテレビ絵本」は1990年に開始。

最初は夕方17:25-17:40に放送されていたそうです。

夕ご飯前に見ていた記憶があります。

『クレヨン王国の十二か月 (講談社ファミリーブック―NHK母と子のテレビ絵本 (13))』の出版年を確認してみると、1991年2月ということなので、おそらくクレヨン王国の放送は1990年なんでしょう。



8歳のころだから、小学2年生か。



クレヨン王国のほかにも、「ルドルフとイッパイアッテナ」とか、思い出に残っていますね。

間違え

この「クレヨン王国」が特に記憶に残っているのは、一つの思い出がありまして。

テレビで見た後に 自分でも読みたいなと思って、本屋さんで買った本なんですよね。

それが「初めての本」と言えるかは、ちょっと曖昧なんですが、自分で買って自分で読んだ本の記憶としては一番古いのです。



ところがですよ!!

本屋さんから持ち帰った本を読んでいると、

「あれ?テレビで見たのと違う…」



そうなんです。

間違えて買ってしまっていたのでした。


私が買ったのは『クレヨン王国 十二か月の旅(1988年)』。

(こちらもおススメです)



その後 20年以上たって、改めて『クレヨン王国の十二か月』を読み返すことがあり、今も手元にあります。

わるいくせ

話を『クレヨン王国の十二か月』に戻しましょう。

大みそかの夜、ユカが目をさますと、12本のクレヨンたちが会議をひらいていた。クレヨン王国の王さまが、王妃のわるいくせがなおらないうちはかえらない、といってゆくえをくらましたのだ。おどろいた王妃は、ユカといっしょに王さまをさがしもとめて、ふしぎな旅に出る。

この本は、クレヨン王国の王妃さま シルバー王妃が12個の「わるいくせ」を直すための旅のお話です。

12のわるいくせが、どんなのかというと……

カメレオンは、りょう手をひろげて、賞状でも読むように、王さまの家出の書きおきを読みあげました。
「シルバーよ、わたしは、あなたが、十二のわるいくせをあらためて、王妃のくらいにふさわしい女になるまでは、だんじて、お城にはもどらぬぞ。その十二のけってんとは、一つ、ちらかしぐせ。二つ、おねぼう。三つ、うそつき。四つ、じまんや。五つ、ほしがりぐせ。六つ、へんしょく。七つ、いじっぱり。八つ、げらげらわらいのすぐおこり。九つ、けちんぼ。十、人のせいにする。十一、うたがいぐせ。十二、おけしょう三時間」

旅の道中で訪れる それぞれの街では、その「わるいくせ」をもつ人たちが出てきて、なにかと大騒動になります。

シルバー王妃とユカは、知恵と工夫でそんな大騒動を解決しながら、最後は自分たちの「わるいくせ」でどんでん返しがあったり。

子ども心に登場人物のユカに感情移入して、王妃といっしょに12の街を旅しながら、そこで「わるいくせ」がなぜ「わるい」のか、を知っていきます。

身におぼえ

あらためて、この本が好きだなと思うのは、ユカの目線なんですよね。

ユカは、カメレオンが一つ一つ、読み上げるたびに、ひやりとしました。というのは、王妃さまのわるいくせは、どれもこれも身におぼえがあって、まるで、じぶんのことのような気がしたのです。

ユカは王妃をよこに見ながら、その「わるいくせ」を「じぶんのこと」と感じるのでず。

それでも 相手に困ったり、ぶーぶー文句を言ったり、それでいて どこか相手を憎めず ついていくのです。

12か月かけて、12の旅をするあいだ、王妃さまの身分を隠すためにユカは「マリねえさん」と呼んでいます。

マリねえさんは、ずいぶんわがままで、ユカをこまらせたのですが、また、とてもゆかいで、たのしい人でもありました。
長い一年のぼうけんりょこうをつうじて、ユカはマリねえさんが、だいすきになっていました。

大人になって

この本を改めて読んだのは、わりと落ち込んでいたときで、

いろいろ悩んで、むつかしい本を読みあさって、最後にたどりついたのが、ふと この本だったでした。

ひらがなと句点まじりの 文章は、私の心の中に すーっと入ってきたのを覚えています。

読み始めたら、止まらなくて いっきに読んでしまいました。



人の「わるいくせ」で困ることがあったり、自分の「わるいくせ」で人を困らせることがあったり、それを直すことがあったり、それでも直せないことがあったり、だからといって それも愉快で楽しい。

なんか バタバタと12カ月の旅をしながら、不思議と「わるいくせ」との付き合い方を知り、「わるいくせ」もふくめて好きになれる。そんな本だと思います。



やっぱり、この本は いざというときのための大切な本 なんです。



きっと読んだことのある人も多いと思います。

もし、本棚にあったら そうっと手に取ってみてください。

旅をするには いい時期なのかもしれません。


では、また。

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