ドラクエ4はごぞんじですか?
1990年に発売された ドラゴンクエストIV 導かれし者たち は、当時のロールプレイングゲームとしては珍しく、5つの章にわかれていました。
第1章からはじめて、むさいオジさんが主人公だったときは、軽く絶望しましたが、第2章は水戸黄門さま的な3人旅、第3章はお店屋さんゴッコ といろいろな主人公の物語を楽しませてもらいました。
その第4章にあたるのが「モンバーバラの姉妹」。
踊り子マーニャと占い師ミネアの物語です。
各章それぞれでフィールドを歩いているときのテーマ音楽が違うのですが、この4章はとても異国情緒あふれる「ジプシーの旅」という曲です。
しかし、この章だけは戦闘中のBGMも特別に「ジプシー・ダンス」という曲になっています。
「ジプシー・ダンス」はとても情熱的な激しい曲で、それに対して「ジプシーの旅」はどこか哀愁のある静かな曲になっています。
まるで太陽と月、マーニャとミネアのようです。
放送禁止用語 ?
さて、この「ジプシー」という言葉が曲者です。実は「ジプシー」という言葉は、現在は差別用語と見なされ「放送禁止」になっているそうなのです。
「ジプシー」とは「褐色の肌に黒髪が特徴的な ヨーロッパで生活する移動型民族」のことで、ルーツを辿ると北インドになる少数民族です。
旅をしながら馬の飼育、食材や用品の売買、かご作り、また占いなどをしながら生計を立てている「ジプシー」には、異国情緒で神秘的なイメージがあります。
しかし、そういうイメージの一方で「ジプシー」は「スリや 物乞いをする人たち」と、軽蔑・差別されることもあったのです。
ちなみに、もともと「ジプシー」というのは「外名」です。
つまり、周囲の人たちが呼んだ言い方なんですよね。
語源としてはフランスに来たジプシーが「エジプトの方から来た」と答えたという話に由来と言われ、彼ら自身は「ロマ」と自称しています。
そのため、現在は放送などでは「ロマ」と表現されるようです。
マイノリティ
ということで、今回のテーマは「マイノリティ」です。えーっと、「マイノリティ(minority)」というのは、「少数派」のことで、反対の言葉は「マジョリティ(majority)」になります。
この2つの言葉は、「メジャー(major)」、「マイナー(minor)」という形容詞を名詞したものです。
メジャーといえば、メジャー・リーグ(野球)とか、メジャーコード(音楽)とかで聞きますよね。
意味としては「大」です。
大リーグとも言いますもんね。
それに対してマイナーは、カタカナ英語的には「あまり知名度がない」みたいに使われますが、基本的な意味は「小」です。
ちなみに、同じ系列の言葉をフランス語にすると、「magna(マーニャ)」、「mineure(ミヌー)」になります。
マーニャやミネアってフランス系なのかな?
ボスにバルザックとかいた気がする…
※キングレオのバルザックは、エドガンに師事していた錬金術師。「進化の秘法」のもたらす圧倒的なパワーに目が眩む。
※オノレ・ド・バルザックは、19世紀のフランスを代表する小説家。
アンケート
話を戻しますと、日本語の「マイノリティ」は、英語で言う"minority group"という概念に由来するもので、「社会的少数者」とも訳されます。さて、先日ツイッターにてアンケート(?)を実施しました。
自分はマイノリティだと思う?
そう思う・そうは思わない・この質問はずるい・その他(リプ欄)
対象:上記ツイートを直接・間接的に見るTwitterユーザー(リツイート20、合計インプレッション3,855)
調査期間:2020年1月22日から3日間
回答状況:123票(回収率 3.2%)
回答結果
- そう思う 56.1%(69票)
- そうは思わない 29.3%(36票)
- この質問はずるい 10.6%(13票)
- その他(リプ欄) 4.1%(5票)
皆様、ご協力ありがとうございました。
ちょっとした思い出
今回の3000文字チャレンジのお題「マイノリティ」を見て、ふと「私って、マイノリティなのかな?そうじゃないのかな?」と考えました。自分はマイノリティの当事者と言えるんだろうか、と思ったんです。
そして、不思議な感覚に気づきました。
マジョリティに入れないことは寂しいけれど、マイノリティにも入れないとすればもっと寂しい、ということなんです。
学生時代に養護施設のボランティアに行ったことがあって、そこの職員さんに言われた言葉を今も覚えています。
「あなたは恵まれてていいね」
嬉しいコメント
実はこのアンケート調査には、いくつかの「しかけ」というか「不備(?)」があります。まずひとつは、いろいろな社会的な文脈・シーンにおけるマイノリティを、ひとくくりで「マイノリティ」と言っている点です。
shさんから頂いたコメントにもありましたが、「海外にいた時の自分」と、「日本にいる自分」でも、「マイノリティ」かどうかは違ってくるんですよね。
2つ目は、あくまで「そう思う」か、という主観の話という点です。
これは、ドクダミ淑子さんや、待宵スークさんのコメントにもありました。
己をどう捉えるかと、人からどう言われるか、という点があります。
(ちなみに髭眼鏡鶏さんは、歌を教えてくれました♪)
マイノリティも いろいろ。
「深刻な差別に苦しんでいるマイノリティ」だけでなく「なんとなく漠然と自認するマイノリティ」まで含めて、何か考えられないかな、と思ったんですね。
仮説
このアンケートをする前に、一つの仮説がありました。それは、「マイノリティと自認する人は、実は多数派なのではないか?」という仮説です。
この調査結果では「そう思う(56.1%)」が、この仮説を支持しているようにも受け取れます。
あるいは、インプレッションからの「回答率(3.2%)」をみると、そもそも回答した時点で「マイノリティ」だったのかもしれませんね。あるいは、「マイノリティ感(マイノリティに苦しむ感覚?)」がある人だからこそ、わざわざアンケートボタンを押しやすいのかもしれません。
いずれにしても、母集団をどう取るかで「多数派」「少数派」は容易に入れ替わるんですよね。
平均顔
日々暮らし、人と付き合ってみると、テレビや本でいうような「普通の人」が驚くほどいないことに気づきます。「平均的な家庭生活で、平均的な会社員で、平均的な年収で」みたいな「絵に書いたような平均人」は、皆無です。
画像合成で知ったんですが、色んな人の正面の顔写真を重ねて「平均顔」を作ると、だいぶ「美人顔」になるそうです。
私たちの思う平均って、思ったよりも「すごい」んです。
検証
さて、そろそろ3000字になったのと、もうすぐ次のお題の週になってしまうので、本題に入りましょう。(むしろ、ここで引き返していただいてもよいですよ~)
今回のアンケートでは、合計123票のうち「自分をマイノリティと思う人」56.1%、「自分をマイノリティと思わない人」29.3% という結果になりました。
はたして これにより「自分をマイノリティと思う人のほうが、そう思わない人より多い」と言えるのでしょうか?
というのも、「たまたま 偶然 そういう人が多かっただけ」という「可能性」も考えられます。
ちょっと昔に習った知識で怪しい点もあるのですが、こういう「可能性」がどれぐらい有り得るのか検討するための道具に「統計」があります。
はじめて知ったときに、「アンケート結果ってただ数字を見るだけではないんだ!」とびっくりした記憶があります。
ということで、まずは このアンケート結果から「自分をマイノリティと思う人は50%以上である(命題)」かどうか、「検定」してみます。
50%に対して片側検定をするために、検定統計量Z_0を計算します。
Z_0=(ABS(0.561-0.5)-(1/(2 *123))) / SQRT(0.5(1-0.5)/123) = 1.262
そして、正規分布からp = normsdist(Z_0) = 0.8966
ようわからん式ですが、これが統計的にみた命題が正しい確率です。
つまり、9割がた 言ってることは正しいっぽいけど、そうじゃない確率(有意水準)も まだ10%ほどあります。
ちなみに統計学的には 外れる確率が5%未満でないと「有意である」とは言えません、惜しい!
次に、このアンケート結果から「自分をマイノリティと思わない人は50%以下である」かどうか、検定してみます。
Z_0=(ABS(0.293-0.5)-(1/(2 *123))) / SQRT(0.5(1-0.5)/123) = 4.501
p = 0.999997
こっちは、ほぼ間違いなく母集団でも成り立ちそうです。ほっ…。
(ほんとか?)
かなり怪しい検証をしてきましたが、この時期 卒論が懐かしいです。
指導教授の先生は 今もお元気にしていらっしゃるかな……
(先日、年賀状はいただきましたが)
以上のことから、「自分をマイノリティと思う人は、実はマジョリティである」とまでは言えなかったものの、「自分をマイノリティと思わない人は、実はマイノリティである」とは言えたことになると思います。
ちなみに、アンケートに参加した時点で、だいぶマイノリティなんですがね。
お後がよろしいようで。
あとがき
一応 補足すると、私自身マイノリティだと思っている人間です。
だから、マイノリティと自認することを否定するつもりは全くないです。
「あなたは自分でマイノリティだと思っているみたいだけど、そんなことないよ」とか言われたら、腹が立ちますよね。
それは、置かれている社会状況や、周囲の理解や無理解に直面する現実としてありますよね。
むしろ、それぐらい「無理解」に苦しんでいる人が多いのかな、気づかされる結果でした。
そんな中、自分なりにがんばって考えてみたのは、多数と少数の間の揺らぎについて。
何が「マイノリティ」かというのは、頭でわかるものでもないのかもしれません。
だから、マイノリティと自認することを否定するつもりは全くないです。
「あなたは自分でマイノリティだと思っているみたいだけど、そんなことないよ」とか言われたら、腹が立ちますよね。
それは、置かれている社会状況や、周囲の理解や無理解に直面する現実としてありますよね。
むしろ、それぐらい「無理解」に苦しんでいる人が多いのかな、気づかされる結果でした。
そんな中、自分なりにがんばって考えてみたのは、多数と少数の間の揺らぎについて。
何が「マイノリティ」かというのは、頭でわかるものでもないのかもしれません。
がんばったら許される法則。
何か、考える一助になれば幸いです。
何か、考える一助になれば幸いです。
なお、統計処理の間違いについての指摘は求めていない(えっ?)のですが、きっと言いたくてウズウズする人もいるでしょう。
もし間違いに気づいたら、こっそり教えて下さい。
元記事に注記し、この下に訂正を入れます。
アンケート結果はこちら
あの…少しアンケートにご協力いただいてよいですか?よろしくお願いします。(もし、よかったらリツイートもお願いします)— ぽたきち/ファミコン音楽家 (@potakichi_57) January 21, 2020
自分はマイノリティーだと思う?