カーロ・ミオ・ベン ~愛する人に会えない苦しみ(愛別離苦)

『カーロ・ミオ・ベン』(Caro mio ben )は、音楽の教科書にも載っている古典イタリア歌曲で、シンプルながら平凡ではない原曲のメロディと、抒情的で穏やかな伴奏がとても素敵な曲です。



学校で歌ったことのある人も 多いのでは。

作曲は後期バロック時代の作曲家トマゾ・ジョルダーニ(1730-1806)です。

しかし、現在知られるのは、ロマン派の時代のイタリアの作曲家アレッサンドロ・パリゾッティ(1853~1913)のまとめた「イタリア歌曲集」によるところが大きいです。

歌曲集のためにつけたパリゾッティのピアノ伴奏は、ロマン派っぽい編曲で、バロックとロマンが入り混じった独特の魅力があります。

Caro mio benは、有名なイタリア歌曲には珍しく、オペラの一部ではなく、コンサート用に作られた曲のようです。

今回、この曲を編曲するにあたって、意中の恋人が目の前にいるのか、それとももう会えない状態での祈りの歌なのか、調べてみたのですが、けっきょく確証は得られませんでした。

恋人にすがりついて 泣き落とししようとする歌とも言えるし、逆に亡き恋人を想う悲しい歌にも聞こえるし、不思議ですね。

愛するからこそ、会えないと苦しいというのは洋の東西を問わず、人類普遍のテーマで、仏教のことばにも「愛別離苦」ということを聞いたことがあります。