ドビュッシーとドラクエ ~パスピエ

ドビュッシー(Claude Achille Debussy)の「ベルガマスク組曲」の1曲である「パスピエ(Passepied)」。

冒頭の伴奏とメロディーがドラゴンクエストに似ていると言われるので、音色も寄せて編曲してみました。




歩くということ

「ベルガマスク組曲」は1890年ごろに作曲されました。


その組曲の4曲目にあたるのが「パスピエ」。


「パスピエ」という舞曲のスタイルは一般的に3拍子ですが、この曲はなぜか4拍子です。


どうも、もともとは古い舞曲でも「パヴァーヌ(Pavane)」として作曲されたようです。


しかし、当時パヴァーヌといえば、フォーレ(作品50, 1886年)やラベル(過ぎ去りし王女のためのパヴァーヌ, 1899年 )の傑作があり、ドビュッシーはこれらの作品に「道を譲る」形で曲名を「パスピエ」に変えたのではないか、とも言われています。


舞曲とステップ

パスピエは「通行する足 (passe-pied)」という意味で、軽やかなステップが特徴の舞曲です。


パヴァーヌは「孔雀(pavo)のような優美さ」が語源ともいわれる、ゆっくりと厳かなステップの舞曲です。


この作品のテンポは「Allegretto ma non troppo」 ということで、パヴァーヌの様式を持ちながらも、パスピエのもつやや軽やかな美しさも備えています。

他の作品に刺激を受けながらも彼独自の「表現したいもの」があることが、このテンポ感・空気感の違いにも受け取れます。

絵画と詩

ドビュッシーといえば「印象主義」の作曲家ですが、「象徴主義」に位置するともいわれます。


印象主義(impressionism)」は絵画に発するもので、対象の輪郭線も固有色も否定することで、自然の変化を正確に捉えようとした画家たちの芸術運動でした。


それに対して、「象徴主義(symbolism)」は文芸におけるもので、客観描写ではなく、象徴作用と装飾形式で想像の世界を暗示しようとする詩人・作家たちの芸術思潮でした。


印象的な魅力

ドビュッシーのピアノ曲の魅力は、ひとつに和音の動きが複雑で聞いていて心地よいからでしょう。


その技法には印象派との共通点も多いです。


調性感を曖昧にし、輪郭をぼかし、メロディーラインという「線」より和声の陰影で作品を構成している点です。


ちなみに、この曲の多くを占める左手の分散和音は不規則な音をスタッカートで並べるのが妙に難しいものです。


象徴的な魅力

一方で、ドビュッシーの音楽は詩から着想を得たものも多いようです。


「ベルガマスク組曲」の名前自体が、ポール・ヴェルレーヌの詩集『艶なる宴』の中の詩「月の光」に由来するぐらい、詩からは強いインスピレーションを受けていたようです。


その幻想的(ファンタジー)で神秘的な魅力は、目には見えないものを見える形にした、「象徴的」ですよね。


荒野を行く

このようにみてみると、この曲の特徴は「幻想的な世界を逍遥する」ということです。


実はRPGのフィールド音楽にピッタリなんです。



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パスピエは辻井伸行さんの演奏で感激しました。
ぜひ、お聴きください。おススメです。

ドラクエは、初代が1986年の作品。
いまなお、新しいファンが生まれてて、嬉しいですね。