退職するときに会社側はどんなことを考えて行動してくるのか知りたくて本を探してみたら

さて、今回紹介するのは、「社員を適正に辞めさせる法」という 労務リスクソリューションズ という会社が出している本です。



出版が2011年で、2014年に新訂版を発行していますので、今からすると約5年前の情報となります。

使用者の立場から「解雇」や「未払残業代」など労働紛争について、法律の意味や適正な運用について書かれています。

労働者向けに書かれている労働基準法についての本も読んでいるんですが、ちょうど内容的に表裏一体になっています。

同じ話も見方が逆になるので、面白く読むことができました。

適法性と合理性という2つの観点

特に印象に残ったことは「労働問題の評価」には二つの面があるということです。

一つは手続きが「法に則ってなされているか」という形式的な部分で、もう一つは「判断が合理的であるか」という内容の部分です。

基本的には裁判ではこの両方が争われることになります。

いっぽう労働基準監督署は、「手続きが適法であるか」という部分を見る役割であるということがとても印象に残りました。

つまり、労働基準監督署に問題を持ち込む場合は、「手続きの不備」について主張する必要があるということです。

判断の不合理について争う場合は、斡旋や調停あるいは訴訟などによって解決することになります。

未払い残業代請求増加の社会的背景

もう一つ印象に残った話は「未払い残業代請求」についての話です。

未払残業代請求が増えている社会的な背景として、弁護士の人数が余っていることがあります。

これまで、余った弁護士は「消費者金融の過払い金返還請求」を収入の柱にしていました。

そもそも過払い金返還請求の問題は、出資法と利息制限法の上限金利が違ったために起こりました。

つまり、法の不備による紛争でした。

しかし、法制度が変わったことにより問題は縮小しました。

すると、弁護士や司法書士たちは別の仕事を求めることになりました。

それが未払い残業代請求ということになるのです。

未払残業代が紛争のもとになるのにもシステム的な原因があります。

まず労働時間というものが企業ごとに解釈に違いが生じやすいことです。

また、賃金請求権の時効は2年間までは遡って請求することができるため、まとまった金額になることです。

曖昧な状況が放置されているところに争いが生まれ、それに収入源にする仕事が生まれるというのは、不思議な現象です。

世の中には争いの存在によって生活をしている仕事がある、ということに気づかされました。

まとめ

もしご興味があれば 、読んでみてください。