外資系の会社が富を吸い上げる手伝いをしているだけ --- 外国資本と植民地主義

こんにちは。ウイルスバスターの創業者チャン氏が、外資系企業を辞めた理由が明快で感心しました。

資本というものについて考えさせられます。

「外資系の会社で飯を食っている限り、将来の展望はないぞ」(p.49)

「僕らはわざわざ台湾に戻ってきたというのに、外資系の会社が台湾から富を吸い上げる手伝いをしているだけじゃないか。」(p.49)

「外資系の長所は組織がしっかりしていて目標設定が具体的であること、成績評価が具体的であること、短期間でエキスパートを養成し、しかも管理の基本原則が学べる点にある。しかし、経営戦略は外国の本社で決定され、台湾の支社では販売目標の達成に重点が置かれる」(p.49-50)

「ただ命令を実行するだけだ」(p.50)

ウイルスバスターの冒険』(2000 S.チャンら)より


(イメージ:植民地主義 colonialism)
Tropenmuseum, part of the National Museum of World Cultures  CC BY-SA 3.0

バブル期以降、日本でも「外資系企業」というと華やかなイメージがあります。
しかし、結局は欧米的な「植民地主義 (colonialism)」の現代における現地執行者にすぎない、と見抜いているのはすごいですね。

もちろん、「命令を実行するだけ」というのは、何も外資系企業に限ったことではないし、多くの働き手はそうかもしれません。
ただ、外資系の場合は、幹部になる道がかなり険しいことは特筆すべきかもしれません。

グローバルな時代だからこそ、自らの資本で創業することの意味は大きいと思います。

ウイルスバスターの冒険―トレンドマイクロ創業物語(2000 S.チャンら)
台湾のセキュリティソフトITベンチャーであるトレンドマイクロの創業史ですが、中国文学をルーツにもつ著者 陳 怡蓁(ジェニー・チャン)の戦略的な観点は、あたかも古代の十八史略や孫子を彷彿とさせます