そんな時は思い切って、スタッフを全員正社員にしてしまうという方法もあります。
一見、暴論にみえるのですが、ちょっと考えてみましょう。
人件費の硬直化
まず、コストの問題を整理しましょう。確かに正社員の場合は、長期雇用の中で昇給の蓄積があります。
また、保険や福利厚生を充実させるのに、手取り以外に会社負担があります。さらに、売上構成が変化しても簡単には解雇できません。
つまり、パートに比べて人件費が高く、さらに固定化する傾向にあります。
そこで、いわゆる「単純な作業」の場合は、なるべくパートやアルバイトを雇って任せたいと言う考えが経営者に生まれます。
チームの生産性
しかし一方で、現場ではお客さんのためにスタッフ皆で一緒に一生懸命働くことが大事になります。経営としては、同時にそのような環境を作ることで、ユニークな価値を作っていく事が求められます。
同じ職場に正社員とパートと言う二つの働き方が混ざっていると、どうしても そこに難しさや歪みが生じます。
つねに時間通りに仕事が終わればよいですが、そうでないこともありますよね。
そんなときに正社員が頑張って働いている横を、パートスタッフは「素通り」して帰らないといけません。
これは個人の問題ではなく、仕組みから導かれる必然なのです。
もちろん、自ら高い使命感で働くパートスタッフはたくさんいます。
しかし、他人がパートスタッフに責任や高い意識を求めるのは、やや虫がよい話です。
正社員とパートが同じ思いで働くというのは、理想としてはわかりますが、あまり現実的とはいえないでしょう。
ワーク・ライフバランス
さて、今いるスタッフをすべて正社員にしようとするともう一つの問題があります。それは、仕事とプライベートの両立というものがあります。
単純にいうと「週40時間は働けない」という声です。
これは、実は正社員にも共通する話です。
男女問わず、とくに子育てや介護など、家庭では突発的に人手が必要になるものです。
すでに正社員で働くスタッフも、将来の介護などで今の仕事を続けられなくなるかもしれないという不安を抱えているものです。
時短社員という選択肢は増えるか?
しかし、これも乗り越えられそうなハードルです。そもそも、社員の就業時間は契約によって短くしても構わないからです。「時短社員」という可能性があります。
実は、大きな問題は保険や税金の仕組みです。月収が少なくなると、保険料などの負担感が増えてしまうのが、時短社員が選択されにくい要因です。
多様で合理的な働き方を考えていくことは、企業経営においてもプラスだと思います。