仕事で接客する際には、会話を続けようとして、どんどん空回りして焦ってしまうことが多いです。
そこで最近、意識していることに、話そうとすると緊張するので、聞き役に徹するようにしよう、ということがあります。
少し心に余裕が生まれますよ。
なでしこジャパンの監督として有名な佐々木則夫さんも、コミュニケーションには苦労と工夫をされてきたそうです。
女性相手になると、どうしてコミュニケーションが長く続かないんだろう。自分なりに考えてみると、こちらから話してばかりいるから会話が途切れるんだ、ということに気づきました。私が話すのではなくて、相手の話を聞けばいいんだ、と。佐々木監督は女子チームの監督として素晴らしい結果に導いた方で、私にとってとても尊敬している方の一人です。
聞き役に徹してみると、それはもうよく話してくれるんです。私が聞きたかったことだけじゃなく、ちょっと聞きにくかったことも選手の方から話してくれたり。私が誘導しているわけではありませんから、ストレートな本音が明かされるんです。これはちょっとした発見でした。うまいぐあいに問いかけをすることによって、サッカーの話へもっていくことができるんだな、と。
(…)
そういえば、妻に対しても、私は自分の言いたいことを伝えるばかりで、ほとんど問いかけていなかったなあと(笑)。そこで仕事から帰宅して「今日は何かあった?」と聞いてみたら、やっぱり話してくれるんですよ(笑)。ささいなことでけれど、身近な人間に伝えたい思いというのは誰にでもあるんですよね。
佐々木 則夫ら:勝つ組織 (角川oneテーマ21) p.46
性別も年齢も違う組織集団で、それぞれのメンバーの力を引き出すことの苦労は並大抵のことではないと思います。
なにより、自然体の温かい佇まいが素敵です。
「聞き上手」になろうとテクニックに走っても、身の丈に合わないとなかなかうまくいかないものです。
この中にある「今日は何かあった?」という素朴な問いかけから取り入れてみると、確かにあとは相手が話をつないでくれます。
会話のストーリーを全部自分でプロデュースしようと力んでしまうのではなく、力を抜いて話題を持ち寄って相手と一緒に作るぐらいにするといいですね。
面白い会話にならずとも、自分だけのせいでもないわけですしね。