すでに業務崩壊の中、何かをやったほうがいいけれど、何でもいいというわけでもない話

新型コロナウイルスの影響で、次々といろんな業種で「業務崩壊」になっています。
そんな中、いろいろな試みが進む中で「少し見えてきた課題」を整理しておこうと思います。

徐々に崩壊する産業

一番初めに影響を受けたのは観光客の減少で、インバウンド目的の旅館や観光業でした。

次に渡航制限により、旅行業や航空会社。

そして、今は感染拡大を防止するために 「三密(密集・密接・密閉)」を避けることが至上命題になっています。
外出自粛のあおりを受けて、多くの飲食店・サービス業が事業存続が苦しい状態になっています。

飲食店の苦境が取り沙汰されています。
ただでさえ出歩く人が減っていて、売上が減りますし、営業自粛をすれば完全に売上が0になります。

しかしだからといって、家賃や人件費といった「固定費」がなくなるわけではありません。
休んでいれば日1日と少しずつ営業資金が減っていき、最終的には倒産してしまうのは目に見えています。

しかも、このような状態はいつまで続くのか、全く見通しが立ちません。

ですので、「この自粛の状態が長期間にわたって続く」と考えて、それに合った営業モデルを作っていく必要があります。

テイクアウトの向き・不向きに考える

その代表的な方法がテイクアウトと言うことになります。

もともと飲食店は、同じ時間でたくさんの売り上げを上げようと思う(つまり生産性を上げる)と、お客さんの数を増やす必要があります。
そのためにできることは、「席数を増やす」と「稼働率を上げる」ということになります。
お店の面積はなかなか増やせませんので、回転数を増やすことになりますが、これは滞在時間を減らすことになり、「慌ただしい食事」になってしまうというジレンマがあります。

その解決策の一つが「テイクアウト」です。

テイクアウトでは、料理さえ提供すれば、場所や配膳といったそれ以外のサービスをする必要がなくなります。
よりたくさんの人に料理を提供することができるようになるわけです。

しかし、テイクアウトをしていない飲食店があるのは理由があります。

1つは衛生面です。
テイクアウトをするためには、食中毒を起こさないために、調理の仕方や設備など様々な仕組みが必要です。

例えば、お弁当には「消費期限」や「材料」「製造者」などといった表示をする必要があります。
お店で提供してすぐに食べてもらうのとは、違う「製造業」としてのノウハウが必要になるのです。

もう一つは商品開発です。
コンビニ弁当の企画では、何度も試食・試作を重ねると言います。
時間が経った状態で食べて、おいしいかどうか、満足を得られるかどうかということです。

通常の飲食店では出来立ての状態で提供することになります。
しかし、テイクアウトの場合は持ち帰りの時間があるために、どうしても冷めてしまいます。
「冷めても美味しい」というのは難しいのです。

既に売られているお弁当は、冷めた状態でもおいしいように調理や食材に工夫がこらされています。

したがって「お店で出している料理をそのままお弁当にしても美味しくない」と言うことになります。

また、飲食店がテイクアウトに参入すると、コンビニの冷食などこれまでと違った業態もライバルになります。

したがって、そういう冷凍食品でおいしい味が出せないものならテイクアウトで成功しますが、そうでないものは苦しい価格競争に晒されることになります。
元々テイクアウトでうまくいっている代表例は宅配ピザ・中華料理だそうです。
冷凍食品でもピザはありますが、家庭には大きなオーブンがないために専門店のような味が出せません。
中華鍋も家庭にはなかなかありません。
手間や設備が必要なもの、つまりある程度参入障壁があるものでないと、差別化できません。

このように専門店として差別化ができるかどうかということが、テイクアウトで成功するための条件ということになります。

外出自粛のあおりを受けて営業に打撃を受けている業界は飲食店だけではありません。

それ以外のサービス業などでも、対面接客ができなくなり、新しい方法で売り上げを上げていく工夫をしていく必要があります。

先ほどの飲食店のケースでは、テイクアウトにはあうジャンルとそのままではうまくいかないジャンルがあるということが見て取れました。
これは示唆的で、他の業種でもちょっとした違いでうまくいくケースと、そうでないケースがあると思います。

教育の「オンライン化」の向き・不向き

例えば教育・習い事の「オンライン化」ではどうでしょう。

小さい小学生に教える場合は、オンライン会議のような教え方よりは、アプリやゲームのようなゲーム感覚のものの方が向いていると思います。

低年齢の場合は、目の前に先生がいない状態で集中力を持たせることが難しいからです。
また、年配者の場合も、スマホやパソコンといった機器を扱うことの難しさがあります。

一方、成人向けのヨガや音楽教室などは、家だと動きにくかったり、ビデオ通話だと音質が悪かったりというデメリットはありますが、それでも「通いやすさ」というメリットも生まれるかもしれません。

また、学生向けの大学の講義等は、オンライン授業が進んでいます。

ただおそらく収録であれ、リアルタイムの中継であれ、映像配信による授業は、通常講義とは違いがあります。
普通の授業は冗長な部分があってもあまり気になりませんが、映像の場合は強烈に「段取り悪く」不快に感じてしまいます。

映像であれば受け手の方が不要な部分をカットする飛ばすことができます。
これは「メリット」でもあり「デメリット」になりえます。
おそらくスマートフォンでインターネットを見ながら、という「ながら勉強」が増えると思います。

これからコロナショックの長期的な影響に適応するために「取組み」を進めていく中で、闇雲にするだけでなく、こまめに振り返りつつ軌道修正をしていく必要があるなぁ、と思います。