【読前レビュー】『音楽の進化史』 ~コンテンツが複雑化する条件

こんにちは。最近、読んでいる本は『音楽の進化史』という本です。
原題は「The Story of Music」というもので、「進化」というワードは入っていないのですが、うまい邦題だと思います。



生物学でいう「進化」は、「環境への適応」がその原動力です。
西洋音楽の歴史を「進化」という観点で整理することができました。

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これまでの西洋音楽の発展は、音楽を求める人達の暮らしの変化に「適応」することで変化を繰り返してきた、ということがわかります。

特に印象的なのは、各時代の音楽の特徴づけです。

「バロック」「古典」「ロマン」などの音楽の区分は、他の芸術様式の用語を利用する形で名付けられているので、わかったようなわからないものでした。

古典派音楽を「シンプルミュージック」とまとめたり、ロマン派音楽の特徴を「運命・愛・死」の三つの要素によってまとめている点はとても腑に落ちるものでした。

この本の著者であるハワード・グッド―ルは、現在も活動している作曲家で、だからこそ音楽家の歴史ではなくて「音楽そのものの歴史」を書くことができたように思います。

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この本を読んで一番びっくりしたことは、レコードが普及していない200年前以前の社会では、「人生の中で同じ音楽を聴く機会がせいぜい最大でも4・5回程度」だったということです。

いつでも繰り返し同じ音楽が聴ける時代の音楽とは全然違います。

音楽との出会いは「一期一会」で、だからこそ現在のTVドラマのように新作が求められていたことがわかります。

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話が変わりますが、最近「ファミコンミニ」や「プレイステーションクラシック」というレトロゲームの再販が話題になっています。

コンテンツがデジタル化されて蓄積されていくと、古くて良い作品にも簡単に触れることができます。

昔のゲームでも今やっても面白いですよね。

従って現在のデジタルゲームの新作は、いわば過去のすべての作品と勝負をしなければならなくなります。

ゲームの新作が常に斬新なゲームを求められるのは、この膨大な蓄積があるからです。

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話をクラシック音楽に戻すと、現代音楽はとかく難解なイメージがあり、玄人好みするものになってしまいました。

このように新作が複雑化するのは今よりずっと前、レコードの発明によって起こっています。

ゲーム業界をみてもマニア向けとカジュアルなものに二極化しつつあります。

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デジタル時代はコンテンツがどんどん蓄積されるのに対して、人間の視聴可能な時間はあまり変化しない、という特徴があります。

レンタルビデオ屋のビデオの数は床面積の制限があるので新しいコンテンツを増やしたら、古いコンテンツを減らす必要があります。

それに対して、Youtubeなどの動画投稿サイトは、基本的にコンテンツは増える一方です。

今後の文化がどのように進化していくのか興味深いですね。