誰の世、誰の夜

 そういえば、


この世をば わが世とぞ思ふ望月の

欠けたることもなしと思へば


という歌の、我が世と思っているのは満月であって、詠み手ではないのでは、という話を聞いて、


春の花、今は盛りににほふらむ、

折りてかざさむ、手力もがも


のような「今限り、この夜限り」という感じなのかな、と。